小児期の逆境体験が自殺、自傷行為につながる可能性が高い

『犯罪心理学研究 第56巻 特別号(2018)』p.56 高橋哲、山木麻由子氏らの「薬物事犯者における小児期の逆境体験が自殺・自傷に与える影響の検討」について、ご紹介します。

目的としては、刑事施設に在所中の覚醒剤事犯者を対象に小児期の逆境体験の実態を把握すること、また、自殺念慮や自傷行為に与える影響について検討することを目的として調査がされています。

対象者は、全国の刑事施設(医療刑務所及び拘置支所を除く78庁)に新たに入所した受刑者を対象にし(人数としては、699名)、質問形式(米国疾病管理センターが示した逆境体験の各項目の定義を参照)で行っています。

この小児期の逆境体験というのは、18歳までの家庭内機能不全に係る経験として、家族の飲酒問題・違法薬物使用、家族の精神疾患の(四示推の右の漢字)患歴・自殺企図歴、親との離別死、家族の服役歴及び父親から母親へのDVなどになります。

結果からの考察をご紹介します。

 

小児期での逆境体験の得点が自殺念慮や自傷行為のリスクを高めるとの結果が示された。過去の体験が一律にその後影響を与えるとの決定論には与さないが(くみ:力になる。仲間にする。)、総体としては小児期の逆境体験の影響の大きさがうかがわれた。

また、男女によって自殺念慮と自傷行為への影響の仕方が異なる可能性があること、他人への信頼が、小児期と自傷・自殺の間の調整変数として働いている可能性も示唆された。

 

「男女によって自殺念慮と自傷行為への影響の仕方が異なる可能性があること」については、女性の自殺念慮以外全てで、逆境体験の得点がリスクを上げる方向で有意であり、

自殺念慮は、男性で21.0%、女性で46.3%。自傷行為は男性で8.1%、女性で41.2%に該当していたのだそうです。

 

「他人への信頼が、小児期と自傷・自殺の間の調整変数として働いている可能性」という内容は、重要な内容であると思っています。

ここからハッキリして分かることは、小児期に他人を信頼できるかどうかが重要であるということです。これは、周りの大人の努めでありますが、親がこの役をできない場合には、すぐに、関係機関に相談することが、親のため、この子の将来のためになるということです。

こういった内容を、子どもを産む前、産んだ後に分かるようなガイダンスがあると、1人で悩まずに済むのでは、と思います。

 

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