悲劇を忘れないイタリアの文化

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レッジョ・エミリアの中心街から少し離れると、すぐに緑豊かな土地が広がっており、そこにもバールや、レストラン、スーパーなどがひっそりと佇んでいます。

 

私が海よりも、山が好きだということを伝えると、ホストファミリーの方が、山にある、彼女のご実家へ連れて行ってくれました。

 

その道中では、いろいろな話をしてくれました。

 

日本では、すべての道に名前がついているわけではありませんが、イタリアでは、細い道でも名前がついているとが、カルチャーショックでもありました。途中に現れる「ヴェッキア(古い、老い)」と呼ばれる道が現れると、「私もヴェッキア」と、笑いながら言っていました。

 

彼女は断るごとに「ヴェッキア!ヴェッキア!」と言っているので、いつも「そんなことありません」と伝えては、彼女の息子さんや、友人が遊びに来た際には、その話について、いつもしていました(彼女ったら、いつも、ヴェッキア!ヴェッキア!って言っているのよ。と)。

 

そして、お友達とビアフォールに行った際に見かけた道の名前には、「長崎」「広島」という名前がつけられていたのです。

 

私は、目を疑ってしまいましたが、一瞬の出来事だったので、何かの間違いではないかと、確認したら、「そうよ。長崎と広島よ。」と、運転しながら教えてくれました。

 

どうして?と、素朴な疑問でした。間髪入れずに問いかけると、「原爆で多くの人が亡くなって、あれは、絶対に忘れてはいけない出来事なのよ。」と教えてくれました。

 

イタリア人が、先祖を忘れないために、先祖の名前を子どもにつけるというのと、似ていることかもしれないと思いましたが、国内に限らずに、海外の出来事も、道の名前にしてしまうという文化があるようなのです。

 

どれもこれもではなく、「悲劇」があった出来事に限定しているように思えます。

 

そして、彼女のご実家に向かっている道には、モニュメントがありました(トップ画像)。

 

実際に、この地域に住まれていた方々で、ドイツ人によって、無差別に、男も、女も、子どもも関係なく、銃殺されてしまったのだそうです。亡くなられた方々を忘れないように、その事件があったことを忘れないようにということで、モニュメントが建てられているそうです。

 

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広島では原爆の跡地が存在していますが、イタリアでは、市民の結束が強かったということもあってなのか、悲劇が起きてしまったら、地域の人たちが、結束をして、こういったモニュメントを建てられているのではないかと推測しています。

 

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国の歴史も、もちろん大切な出来事ではあるのですが、市民のなかにも、歴史があり、忘れてはいけないことを、市民で分かち合っているということが、伝わってきます。

 

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こういったことは、レッジョ・エミリアだけの町が行なっていることではなく、各町ごとでも、こういったモニュメントがあるのだそうです(NHK「入りにくい居酒屋」のボローニャ編でも、モニュメントの形は違いますが、同じ用途で飾られている様子を見たことがあります)。

 

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モニュメントのすぐ側には、バールがあり、中心街とは少し離れているので、このバールでは寝泊まりもすることができるのだそうです。

 

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昔起きてしまった「出来事」を知ることに重点をおくのではなく、当時、受けてしまった悲しい「感情」「悲しみ」を、現在でも受け継ぐことで、人間が犯してしまった過ちを繰り返さないという教訓と、このモニュメントを残すことで、人間は愚かで、忘れてしまう生き物であるから、彼らに敬意を称する気持ちも込めて、ここを通る都度、先人が残してくれたことで思い出すようにという、優しさも伝わってきます。

身近で起きた出来事を、形に残すことによって、間近で感じることができ、他人事ではないというメッセージも感じることができ、現在をよりよく生きることができるのではないだろうかと、私はそう受け止めました。イタリア人は、昔の人を重んじていると、以前から思っていましたが、さらに理解が深まりました。

 

現在の平和には、たくさんの犠牲があったことを、忘れてはいけないと、歴史の授業が苦手であった自分を、こんなに悔やんだ日はありません。今を知るということは、昔を知らなければならないのだと、痛感させられました。

 

所在地:Via Caduti della Bettola, 121, 42030 Bettola RE, イタリア

 

 

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